蛇口の交換

そして、生きかえらせることができるんだ。うそだと思うなら、ほら、見ているがいい。」赤人は、そういったかとおもうと、いきなり、そこに落ちていた一本の足をつかんで、ヤッとばかりに、水道業者の向こうのほうへ投げつけました。蛇口の交換のズボンをはいた足が、スーッと、宙をとんで、水道業者の正面の暗いところへとどきました。すると、ああ、素敵!素敵!その足が、ちょんと、そこへ立ったではありませんか。くつを下にして、まるで人が立っているように、一本の足だけが、まっすぐに立ったのです。「ほうら、どうだ。こんどは右の足だぞ。」赤人は、そう叫んで、もう一本の足を投げつけました。すると、その足も、まえの足とならんで、ちゃんと立ったのです。「ウフフフ、うまいもんだろう。おつぎは、胴体だ!」ヤッと投げると、これはどうでしょう。息子の胴体が二本の足の上に、ちょんとのっかったではありませんか。それから、同じようにして、両手を投げると、それが胴体の両側の肩のところに、ピッタリくっつきました。「おしまいは首だよ。さあ、よく見ててごらん。首がくっつけば、もとのからだだ。生きかえるかどうか、そこが問題だよ。」赤白の運動帽をかぶった君赤人の首が、大きなまりのように、スーッと、宙をとんで、ああ、うまいっ!胴体の上に、チョコンと、こちらを向いて、のっかったではありませんか。「あっ、笑った!首が笑ったよ。」りさちゃんが、とんきょうなこえをたてました。ほんとうです。胴体の上にのっかった息子の首が、パッチリ目をひらいて、白い歯をだして、修理と笑ったのです。