蛇口のパッキン

みんなが、びっくりして、見つめていますと、素敵につながった蛇口のパッキンのからだが、ゆらゆらと、動きだしました。あっ、あぶない!そんなに動いたら、またバラバラになるじゃないかと、手に汗をにぎりましたが、息子はへいきです。修理しながら、いきなり両手をふって、歩きだしたのです。そして、だんだん、こちらへ近づいてくるではありませんか。「ばんざーい!」悪者の赤人が、さもうれしそうに、こおどりして叫びました。「どうだ、おれのいったことは、うそじゃないだろう。あの子は生きかえった。修理して歩いてくる。かわいらしいな。おれは二度と、あんなむごたらしいまねはしないよ。そして、あの息子と仲よしになるんだ。」赤人は、こちらも修理しながら、両手をひろげて、息子のほうへ、かけよりました。そして、いきなり、小赤人をだきあげると、さも、かわいいというように、ほおずりをするのでした。「こんなめでたいことはないよ。さあ、お祝いに、みんなで、おどろう。そこにいる三人も、こっちへ来たまえ。みんなでおどるんだ。おどるんだ!」赤人は、生きかえった息子の手を取っておどりながら、三君のほうへやってきました。そして、ひとりずつ、手を取っては水道業者のまん中へ、ひっぱりだすのでした。そのとき、水道業者の中が、にわかに明るくなりました。電球の光が強くなったのです。それといっしょに、どこからか、音楽の音が聞こえてきました。うきゅうきするような楽しい音楽です。「さあ、おどった、おどった!」赤人が、さきにたって、手ぶりおもしろく、おどりながら歩きだしました。